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エアサクションバルブユニットを取り外します。取り外さなくてもいいのかもしれませんが、作業スペースをかせぐために。 |
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ホースクランプを取り外します。必ず取り外す必要があります。
最初、このホースクランプを取り外さずにシリンダーヘッドカバーを取り外そうとしたらダメでした。 |
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シリンダーヘッドカバーを留めている3本のボルトを取り外してシリンダーヘッドカバーを開けます。
上記のホースクランプが付いたままだとホースクランプがフレームに当たります。
シリンダーヘッドカバーを車体右側にずらしながら開けます。ぎりぎりIN.側ロッカーアームシャフト(写真中央)をかわします。ところがこのあとIN.側バルブクリアランスアジャストスクリューの頭にひっかかってシリンダーヘッドカバーが外れません。
シリンダーヘッドカバーの角度をいろいろ変えてフレームとアジャストスクリューをかわそうとしますが、どうにもうまくいきません。知恵の輪みたいな感じです。
ひらめきました。バルブを押し下げればアジャストスクリューが下がります。キックペダルをゆっくりと作動させてIN.側バルブを下げるとやっとシリンダーヘッドカバーが外れます。 |
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シリンダーヘッドカバーが外れました。
OHV特有の2本のプッシュロッドが見えます。趣があって良い感じです。
しかっし!! ロッカーアームシャフトホルダーのこの(矢印部)面取り、とっても意味深です。 |
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拡大写真です。この面取り形状はいかにも不自然です。やっちゃいました、設変しました、って言う形状です。
シリンダーヘッドカバーを外すのにあんな知恵の輪のようにぎりぎりかわさなければならないというのは普通ではありません。ましてキックペダルを作動させなければならないというおまけ付き。
この取り外し軌跡をCADで検討するのはほとんど不可能です。
私の推測。
中国 Wuyang-Hondaでの出来事。車体はそのままで、エンジンだけ設計し直しというビッグマイナーチェンジ。エンジンの耐久試験も終わり、量産間近という時期、サービスマニュアルを作成する部門で「あれっ、シリンダーヘッドカバーがひっかかっちゃって外れねーぞ。設計呼べや。あと品証も。」
設計「シリンダーヘッドカバーが外れない、ってどういうことですか?」
品証「設計さん、これどういうこと? フレームに当たっちゃって外れねーけど。」
設計「えっ?」 (やばっ、検証してない・・・) ごそごそ「ほんとに外れませんね。すみません。対応策を考えてきます。」
設計担当者が上司の係長と一緒に試作車のエンジンをグラインダーで削ってなんとか外れる形状を見つけ出す。ただし、アジャストスクリューにひっかかるのはどうしようもない。でもキックペダルを作動させればなんとかなる。これしかない。
ということでロッカーアームホルダーに大きな面取りをするという緊急設変を出しましたとさ。 |
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シリンダーヘッドカバーをガバッと開けるのでバルブクリアランスチェックと調整はとってもやりやすいです。
アジャストスクリューの頭は二面幅3mmの四角、アジャストスクリュー固定ナットの二面幅は10mmです。 |
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シリンダーヘッドカバーの内面です。成型ゴムシールで確実に密閉されます。
三つのオリフィスから潤滑油が噴射されて動弁系が潤滑されます。 |