[オートバイっていいよな〜、の世界]   このページの作成2010-11-13
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XL250S エンジンオーバーホール

ロッカーアームシャフトの左端からオイルが漏れてシリンダヘッドフィンを伝ってエキパイに垂れて白煙が上がる、漏れたオイルがズボンやブーツに飛び散るという悲惨な状態に陥っていました。シリンダーヘッドカバーを開けてロッカーアームシャフトのOリングを交換するついでにエンジンオーバーホールをしてゴムシール類を全て交換することにしました。

XL250S, XL250Rのエンジンオーバーホールや車体整備についての情報は、ロンリーライダーさんのウェブページ「スパグルメツアー」に詳しく載っています。本当に役立つ情報いっぱいでロンリーライダーさんに感謝です。特にロッカーアームシャフトを分解する際の鬼門、ノックピン取り外しにダイソーのミニリューターを使う、という情報がすばらしいです。

今回交換した部品の一覧表はこちらのページです。2010年6月現在の価格、注文品番・代替品番、欠品部品がわかります。
欠品部品: シリンダーベースガスケット、バルブインナースプリング
シリンダーベースガスケットが欠品なのは、なんでかなーという感じです。社外品を手に入れるか、ガスケットシートから切り出す必要があります。シリンダーベースガスケットの形状をスキャニングしました。こちらのページです。

注意点
1) 大きな部品を留めているねじを緩める際には、3回以上に分けて、外側にあるねじから・細いねじから対角線に緩めます。これを守らないと部品が歪みます。
2) ねじを締める際には、3回以上に分けて、内側にあるねじから・太いねじから対角線に締めます。
3) 組み立て前に、雌ねじにタップをかけます。タップは仕上げタップ(#3)を使います。ボルトにダイスをかけます。
4) ねじを締める前に雄ねじ、雌ねじをエアプローしてきれいにし、雄ねじ先端に少量グリスを付けます。二硫化モリブデングリスが理想です。
5) ねじの最終締め付けは、トルクレンチを使ってサービスマニュアルに記されたトルク範囲の最低値で締めます。ねじが弱っているので気をつけます。
6) 部品を組む際には、エンジンオイルをたっぷり塗って組みます。二硫化モリブデングリスを薄く塗ってからエンジンオイルを塗るのが理想です。ただし、バルブステムとピストンリングに二硫化モリブデングリスを塗ってはいけません。ピストンヘッド上に残ったエンジンオイルはウェスでぬぐっておきましょう。ピストンヘッド上の過多なオイルはピストンリングの固着につながります。
7) シリンダーヘッドカバーを組み付ける際には、圧縮上死点(つまりカム山が二つとも下に向いている状態)にしてから行います。カムが上を向いているとシリンダーヘッドカバーが押し上げられてしまい組み付けられません。
まずはエンジンオイルを抜きます。
エンジンオーバーホール後にエンジンをかける際、エンジンオイルを入れ忘れるのを防ぐためにキーに「エンジンオイル」と書いた紙を貼り付けました。
まさかーって思うかもしれませんが、私の場合、やりそうです。
エキパイやら配線やら、エンジンにつながるものを全て取り外します。
エンジンを降ろす際にフレームに傷がついてしまわないように新聞紙等を厳重に巻き付けます。
エンジンの下に台を置きます。エンジンを真下に5cm程下げる必要があるのでもうちょっと低い台の方が良いです。
ジャッキでエンジンを支えてエンジン取付ボルトのねじをつぶさないようにボルトを抜きます。その後、ジャッキを下げて台の上にエンジンを降ろします。
エンジン重量が37kgなのでそれほど苦労せずに降ろせます。4気筒エンジンでダブルクレードルフレームだと大変なんでしょうね。
外したボルトは穴を開けたダンボールに配置していきます。ボルトの位置を間違えないためです。
ロッカーアームのカム摺動面はほとんど無傷でした。
カムシャフト軸受部もほとんど無傷です。写真はありませんが、カムも非常にきれいでした。
燃焼室のカーボンは、正常の範囲内かなと思います。
今回のために購入したバルブスプリングコンプレッサーです。昔に比べてこの手の工具が安くなったのは本当にうれしいです。

品名: バルブスプリングコンプレッサー バイク用 19-255
会社名: 株式会社ストレート
価格: 3,420円
バルブのカーボンも正常範囲内でしょう。
バルブの摺り合わせです。オートバイのバルブサイズの場合、たこ棒を両手で回す必要はないそうです。このように片手でやります。YouTubeで動画が見られます。いい時代になりました。
バルブステムにばねをつけると自動的にバルブが浮き上がってくるので摺り合わせがやりやすくなります。
ホームセンターでこんなばねを買ってきて使いました。
ロッカーアームシャフトを分解するためにノックピンを抜く必要があります。XL250Sのサービスマニュアルにはプライヤーでつまんで抜く、ようなことが書いてありますがウソです。そんなんでは絶対抜けません。
ロンリーライダーさんのウェブページに紹介されているダイソー製のミニリューターとダイアモンドディスクを使ってノックピンに溝を掘り、貫通マイナスドライバーと大きな金づちで打ち抜きます。
抜き取ったノックピンです。
無事ロッカーアームシャフトとロッカーアームが取り外せました。
ロッカーアームシャフトの左端にあるOリングは2本とも断面形状が四角に変形して硬化していました。これではオイルが漏れるはず。
シャフトのOリング溝の機械加工が粗くてOリングでのシール性に疑問を感じ、溝をヤスリで仕上げておきました。
シリンダー内壁もきれいです。
ピストンヘッドのカーボンも正常範囲内と思います。
シリンダーを取りました。
ピストンとピストンピンもきれいです。
シリンダーライナーとシリンダーの間に大きなOリングがあります。組み付ける際には忘れないように気をつける必要があります。
腰上の部品です。
写真中央にオイルオリフィス部品があります。ラジオペンチかピンセットでつまんで抜いておきましょう。抜き忘れたままクランクケースを逆さまにするとオリフィスが抜けて紛失してしまいます。
これがオイルオリフィスです。
フライホイール取付ボルトを緩めようとしたら、クラッチが滑って緩めることができませんでした。急遽、アストロプロダクツに行ってエアインパクトレンチを買いました。さすがインパクトレンチ、あっけなくゆるみました。
品名: アストロ AP-165 1/2DR コンポジットエアインパクトレンチ
品番: AP-165
商品コード: 2004000007739
仕様
・本体サイズ:168X180mm
・本体重量:1.4Kg
・差込角:1/2(12.7sq)
・ハンマータイプ: ツインハンマー
・無負荷回転数:正8000rpm 逆9000rpm
・騒音:85dB
・最大トルク:正360Nm 逆400Nm
・適正トルク:120〜300Nm
・パワーレギュレーター: 3段階
・適正使用圧力:0.4〜0.6MPa
定価: 19,800円
購入価格: 9,900円 (廃盤商品の在庫限定特価)
次の難関はフライホイール外しです。
実は自家製フライホイールプーラーを用意していたのですが、歯が立たず、知り合いからホンダ純正フライホイールプーラーを借りました。さすがは専用工具、あっけなく外れました。
純正フライホイールプーラーは、CG125にも使えることがわかり、自分も購入しました。ホンダ販売店に注文すると既に販売終了だと言われます。なぜかWebikeには売っています。興和精機株式会社製です。
興和精機株式会社のホームページにはXL250Sに使うM22ピッチ1.5専用のフライホイールプーラーが売られています。XL250Sだけに使うのならばこの方が安く済みます。

商品名: 興和精機:KOWA:ロータープーラー
商品番号: 07733-0020001
定価: 4,368円
価格: 2,514円[2010年11月14日現在] (2010年7月に私が買ったときは3,000円以上したのですが安くなりました。最後の投げ売り?)
ねじサイズ: M16, M18, M20, M22 ピッチはいずれも1.5
URL: http://www.webike.net/sd/1361599/40004060/
それでもフライホイールプーラーを自作したいひとのための参考情報です。M22ピッチ1.5の先端に3mmの凸があります。直径18mmです。
私はM22ピッチ1.5、ねじ長さ50mmのボルトをねじ問屋で買ってきて、近くの鉄工所でM10の雌ねじを追加工してもらいました。
フライホイールに取り付けてM10ボルトをぐりぐりねじ込んでいったら、M22のねじ山がもげました。ボルトのねじが甘くて材料が弱かったようです。
フライホイール抜きはぐりぐりねじを回すのではなく、コンコンと瞬間的に回すのが良いようです。
と言うことで、Webikeで専用工具を買うのが一番賢いようです。
右側クランクケースカバーを外しました。
オイルストレーナーの詰まり具合を確認しましたが、ほとんど異物はありませんでした。
エアインパクトレンチを手に入れたので、クラッチセンターナットは難なく外れました。
クランクケースを割りました。
普通はカウンターシャフトは下側ケースに残るのですが、今回、上側にくっついてきました。
クランクケースの部品をほぼ外しました。
メインシャフト支持部にオイルオリフィスピン、カウンターシャフト支持部にセットピンがあります。ラジオペンチで抜き取っておきます。忘れたままクランクケースを逆さまにするとピンが抜けて紛失します。
下側クランクケースです。美しい。
雌ねじにタップをかけます。仕上げタップ(#3)です。
カメラの調子が悪くて画質が悪いです。
万力にダイスを取り付けて、ボルトを通します。
中タップ(#2)を使ってぐいぐいとやりすぎたため、ねじ底に亀裂が・・・
仕方がないので雄ねじに液状ガスケットをつけました。
中タップ(#2)を使ってはいけません。
仕上げタップ(#3)を使いましょう。
タップの種類: ハンドタップの仕上げタップ(#3)
URL: http://www.monotaro.com/g/00167775/?displayId=55&dspTargetPage=1
カメラの調子が悪くて画質が悪いです。
クランクケースに全ての部品(ブリーザープレートも忘れずに)を組み付けて、上下クランクケースを合体させます。カウンターシャフトのオイルシールはもちろん新品です。
バランサーチェーンを正しい位置にしながらメインシャフトを上側ケースから下側ケースに移しつつ、コンロッドを上側ケースの穴に誘導して、メインシャフトのローラーベアリングを回転して正しい角度にして・・・あと手が2〜3本欲しかったです。
バランサーチェーンの正しい位置はサービスマニュアルを見るしかないです。サービスマニュアルなしではなんともならない部位です。
クランクケース締め付けボルトを締めます。サービスマニュアルでは上側クランクケースのボルトを全部締めてから下側クランクケースのボルトを締めるように書いてありますが、ねじ締めの基本に従えば下側クランクケースのクランクシャフト横のボルトが最初です。で、下側、上側、下側、上側・・・とクランクケースをひっくり返しながらボルトを締めます。
細心の注意をはらってボルトを締め終えたら、念のためバランサータイミングをチェックします。
私の場合、間違えてました。がっかり。
上側クランクケースを組み合わせる際に何か間違えたようです。
また、クランクケースを割って、液状ガスケットを取り去り、再度液状ガスケットを塗ってクランクケースを組みました。
バランサーチェーンの張りを調整します。この部位もサービスマニュアルがないとなんともならないです。
でもサービスマニュアルの書き方があいまいでわかりにくいです。
バランサーホルダーにばねが付いています。バランサーホルダーのロックボルトを緩めるとこのばねがチェーンを張り方向に引っ張ります。つまり、チェーンに遊びがなくなります。この状態からバランサーホルダーを時計方向に一目盛り分回してロックボルトを締めます。つまり、一目盛り分チェーンを緩めて固定します。
カメラの調子が悪くて画質が悪いです。
クラッチスプリングが使用限度ぴったりまでへたっていたので交換しました。
クラッチディスクは使用限度2.3mmに対して2.65mmありました。

バルブのインナースプリングは使用限度42.5mmに対して40.5mmまでへたっていたので交換したかったのですが、販売終了部品となっていて入手できませんでした。まー、実害はないと思うのですが。
プリセット型トルクレンチを使ってクラッチセンターナットを締めます。
プリセット型トルクレンチも安くなりましたよね。
特にコメントなし。
トルクレンチを使ってねじを締めます。
プラグホールに棒を突っ込んで上死点を探します。シリンダーヘッドカバーを組むためにはカム山が二つとも下を向いていて、上死点である必要があります。
エンジンが組み上がりました。
ジャッキスタンドとオフロードバイクスタンドを使ってエンジンをフレームに納めます。車体が不安定になるのでタイダウンベルトを使って天井から車体を引っ張っています。
フレームのダウンチューブに傷がつかないように何重にも新聞紙を巻いておきます。
エンジンが乗りました。
エキパイを取り付けようとしたらスタッドボルトにフランジが取り付かない。なんでかなーと眺めてみたら、フランジが歪んでます。なんでこんなことに。
仕方がないのでフランジに丈夫な金属棒を渡して大きな金づちで叩いて矯正します。(この金属棒はぶったたき専用の棒です。)
エキパイカラーも変形していたのでこれも矯正して、さらにヤスリで一部削りました。
無事にエンジンがかかって、気持ち力強くなり大成功と思ったのですが、2速の時にもニュートラルランプが点いてしまうという問題が発生しました。
シフトドラム左端にあるニュートラルスイッチ接点の板がちょっとだけ変形していました。薄い銅製の板です。ちょっと触るだけで曲がってしまいます。注意しましょう。
問題の接点です。ほんのちょっと変形するだけで問題が発生します。
車体を立てたままで左クランクケースカバーを外すとエンジンオイルが漏れ落ちます。
車体を横倒しにすればエンジンオイルは出てきません。燃料タンクとバッテリーも外しておく必要があります。
特にコメントなし。


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